『数学的センス』


数学的センス (ちくま学芸文庫)

最初は余談から。

著者の野崎先生は、私の大学時代のアドバイザー(学生生活全般に於ける担当教官とでも言いましょうか)でした。 だからなんだというつもりは無いのですが、先生の史上恐らく最悪に近い学生(これはホントです)ではあったものの、学生時代にこの野崎先生と当時の某大学数学科の先生方、並びに、当時同校で科学史と科学哲学の講義を担当されていた村上陽一郎先生には感謝しても感謝しきれない私であります。

本書は、数学の本ではなくあくまでも「数学的センス」の本で、判断・分析・集中・言葉といったような、切り口で数学の、或いは数学者のセンスについて語られていて、「数学」と聞いただけで頭が痛くなったり目眩がしたりする方にも、クスッと読める箇所がそこそこあります。(残念ながら、全体がそうだとまでは言えませんが)

難しいロジックをなんとかして思いつかなくてはならなかったり、どうしても期待する様な数値をプログラムが計算してくれない時など、ぶっ続けに6時間とか8時間とか10時間とか12時間とか・・・とにかく考え続けてプログラムを直し続けて・・・それでもダメだぁ〜〜〜という時があります。(最近あったのは、前のエントリに書いた通りです。 まだ継続中なんですが。) 特に、コンピュータプログラムは正しく動かなければ果たして何時間それに費やそうとも、無いのと同じで、全く評価されません。 評価の対象にすらなりえないわけで、なかなかに辛い時もあります。(ビジネスロジックではそんな事は無いのですが、例えば3次元空間上で決められた2点を通過する特定の曲線の描画(但し、ライブラリは無し)とか、倍精度浮動小数点でも誤差が出てしまう場合に、計算速度を落とさずにどの様に計算するか?とかそんな課題です。)

そんな現在の課題から離れて頭の中を再整理したいときに読むと、問題を解けなくて考え続けているコーフン状態が少しだけ収まります。 物事を筋道立てて考える、そういった考え方の枠組みを再確認できるのだと思います。

野崎先生は他にも古典的(?)名著とも言うべき「詭弁論理学」や「逆説論理学」といった「数学」ではなく、あくまでも「数学的」な本を書かれていていずれもお勧めです。


詭弁論理学 (中公新書 (448))


逆説論理学 (中公新書 (593))

あとがきによると、本書は1987年に出版され、その後20年を経て2007年に文庫として刊行されたものらしいです。 最初に発行された当時は私はまだ学生で、コンピュータを学ぶにあたっての心構えに関する野崎先生の名言を人づてに聞きました。 曰く、

● わからなくても驚かない
● わかっている人に聞く

本書にもこの格言の1つ目「わからなくても驚くな」がそのまま登場していました。 懐かしいです。 さらに全く関係無いですが、この「人づて」の相手の方のご子息が私の長男と同じ学校で同じクラブの一年後輩なのです。 全然関係無いですけど。(^^;

Posted on Wednesday, March 4th, 2009 at 10:24 PM. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

2 Responses to “『数学的センス』”

  1. ケイコ says:

    野崎先生…N館(だっけ?)で受講した覚えがあります。周辺にはもぐらの穴がたくさん開いてましたね。そんな想い出でいいのか…。

  2. shun says:

    N館ですね。 もぐらの穴・・・そういや開いてましたね。(^^;
    まもなく桜の季節です。 お楽しみに!!

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